名古屋高裁(青山邦夫裁判長)は17日、航空自衛隊が首都バグダッドに多国籍軍を空輸していることについて「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示した。ということなのですが、これは、次のような問題を孕んでいます。
・「高裁の判断」が最高裁でチェックされる機会がない
当然、政府としてはこの判断は不服のはずです。しかしながら、
勝訴した被告の国側は上告できないため、今回の高裁判決は確定する見通しだ。とあるように、判決自体は国の勝訴のため最高裁に上告することはできません。原告側が「実質勝訴」として上告しないと、この裁判が最高裁で審議されることがないわけです。
もともと「憲法判断」は、最高裁でも15人の裁判官全員が出廷する「大法廷」で審議するようなこと。そういう「重い」判断が、高裁レベルで決まってしまうことは大きな問題です。
・マスコミの「誤誘導」
上記のような「高裁レベルで判断が決まってしまう」というのがなぜ許されているかといえば、今回のような「判断」が何ら権威や強制力を持たないからです。
「判決」において権威や強制力を持つのは「主文」と呼ばれる箇所。今回の判決で言えば「原告の請求を棄却する」ということのみです。憲法違反という「判断」が書いてあるのは理由のところですが、これは裁判官が主文の判断を下すにいたった考えを縷々述べているところで、ある意味裁判官の言い訳というか判決を読む人に対する親切といった部分。はっきり言ってしまえば裁判官の独り言に近いものです。
ここに何が書いてあろうが、実社会には影響を及ぼさない、及ぼすべきではないところ。
ところが一部マスコミは、あたかも「憲法違反」という判決が確定するかのような報道をしています。
例えば毎日新聞の社説では、
イラク復興特別措置法に基づく航空自衛隊のバグダッドへの空輸活動を違憲とする判決が出た。というように、まるで憲法判断が裁判の中心だったかのような書き方です。その後も
違憲判決:自衛隊のイラク撤退求める声明 愛知県弁護士会 - 毎日jp(毎日新聞)
イラク輸送違憲:名古屋高裁判決に「来年が潮時」の声も - 毎日jp(毎日新聞)
自衛隊イラク派遣:一部違憲判決後初、空自100人帰国−−愛知・小牧基地 - 毎日jp(毎日新聞)
と、「違憲判決」という表現を続けています。
朝日新聞の社説でも、
イラク判決―違憲とされた自衛隊派遣というタイトルで微妙な誘導ぶり。
個人的には、イラク派遣に対する意見はないのですが、物事を正確に伝えようとせず、自分たちの都合のいいように情報を加工することで民衆を一定方向に誘導しようとするマスコミの態度には、不信感を抱き続けています。
今日のチベットリンク
善光寺が五輪聖火出発式を辞退、長野市は出発点変更へ : 運営・話題 : ニュース : 北京五輪2008 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
長野の聖火リレーの出発点であった善光寺が出発式を辞退しました。仏教徒として、チベット問題を見過ごすことが出来ない、ということのようですね。
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